これらの種について、自分はほとんどを見たり採集したりしているのですが、そのうちの数種についてはいまだに見ることすらかなわない種もいます。
自分が中標津に来てから25年。
この四半世紀の間で見ることすらできない種については、「もしかすると昔は生息していたけれど、環境変が変わったりしたため町内では絶滅してしまったのかもしれないなあ」と思っていました。
・・・が!
が!、ですよ。
昨日(8月16日)、そう思っていたうちの1種であるオオヒカゲ(ジャノメチョウ科)と偶然出くわしました。
それも信じられないことに職場からすぐ近くの公園内!
その上、昔から数えきれないほど通っている場所で!、です(o_o)マジッスカ!?
当然(?)そんな大事な時に限って補虫網は・・・、持ってません(-_-)
とりあえず持っていたカメラで撮影したのがこちら↓
シャッターチャンスは一度だけ(T_T)
すぐに林の奥の方に飛んで行ってしまいました。
ちょっと悩んだのですが、意を決し、背丈よりも高い草をかき分けかき分け追ってみましたが、既に時遅し・・・orz
諦めがつく頃にはマダニが3匹服の上を這っていました。
子供の頃によく採っていたオオヒカゲを見間違うわけもなく、うれしいやらビックリするやらで久々にドキドキしてしまいました。
あるんですよねえ、ごくまれにこういう思いがけない出会いが。
しかし、どうも解せない。
今日も現地に行ってみましたが、他のチョウはたくさんいるのにオオヒカゲの姿を見ることはありませんでした。
まあ、それはよくある話だし、25年間も見たことがなかったのにいきなり連日見れるとも思っていません。
ただ、そもそも湿地のようなところで発生し日陰を好む種なので、大きな移動をおこなうとは思えないのです。もしかすると先週大雨をもたらした低気圧の影響でたまたま風に乗って移動してきた個体の可能性もありますが、う~む・・・。
ところで、自分が中標津にやって来る前、オオヒカゲの状況はどうだったのでしょうか。
それを調べるために標本と文献に当たってみました。
まずは標本です。
郷土館にはたくさんチョウの標本があります。
その中にオオヒカゲの標本も2点あるのですが・・・、確認してみたところ、それらは札幌市で採集されたもので中標津のものではありませんでした。
次に文献です。
中標津町内のチョウに関する文献で一番古い「根室国中標津町産蝶類目録」(郷土研究なかしべつ第2号、1977年、平岩康男)にあたってみました。
この目録は1974年~1976年の3年間、著者が中標津町を中心としてその近傍における蝶類の生息調査を行った結果の中標津町関係分を取り纏めた報告で、この中でオオヒカゲは「平地部のみからの確認.少ない」記載されていました。
実際、1999年に平岩氏と話をした際に、オオヒカゲについては「非常に少ないです。是非探してください」と言われたのを覚えています。
つまり確認はしていたけれど、当時もとても少なくて標本をつくるには至らなかった、と思われるのです。
平岩氏の調査が今からおよそ40年前。
2000年~2009年にかけては自分も詳細な調査も行っていましたが、そんな中でも目にしたことすらなかったオオヒカゲ。
迷ってやって来たのか、町内で細々と命をつないで来たのか分かりませんが、何にしてもこの一枚の写真は貴重なデータであることには間違いないと思っています。
by Y
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